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News9 勉強しても結果が出ない中学生「3つの傾向」 そこには大人でも陥りがちな心理が!

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石田 勝紀 :緑進学院 代表取締役  2015年01月08日 東洋経済オンライン

勉強しているはずなのに成績が上がらない子はどうしたらいいのか?

小学校低学年から高学年、そして中学生へ……。周囲に私学を受験する子も増える中で、わが子の成績や先々の進路がまったく気にならない親はいないだろう。どうすれば少しでもいい点が取れ、より上位の学校に進学できるのか。そもそも子どもにやる気を起こさせるには?

約25年にわたり学習塾を運営し、3000人以上の子どもを指導、成績向上に導いてきた石田勝紀氏は「心・体・頭のしつけ」をすることが重要と語ります。今連載では石田先生の元に寄せられた親たちのお悩みに答えつつ、ぐんぐん伸びる子への育て方について考えていきます。

 【ご相談】

中学3年の女の子を持つ母親です。新年早々に受験を控えており、直接、手助けできるわけではないものの、こちらもそわそわする毎日です。うちの子は毎晩遅くまで勉強をしているようですが、なぜか成績に大きな変化が見られません。本人には行きたい学校があるのですが、今のままでは合格は難しいのではないかと心配しています。

本人に聞いても、一生懸命頑張っているからと言われるばかりで、それ以上、深くは入っていけません。勉強しているのに成績が上がらないということは、どこか問題があるのでしょうか。(仮名:岩谷さん)

【石田先生の回答】

保護者面談では、「うちの子、勉強しなくて困っています」という話が約8割を占める中、勉強しているのに成績が上がらないという質問は何ともぜいたくな響きを感じますね。

しかし、勉強しているのに成績が上がらない、これは何も子どもに限ったことではなく、社会人でも同じような壁に直面することがあるのではないでしょうか。

私は今まで多くの学生を指導した経験から、「勉強をやっても、やっても成果が出ない」人には、大きく3つの原因があると考えています。岩谷さんのお子さんも、そのうちのいずれかである可能性が非常に高いと思います。

まずひとつ目に考えられる原因です。それは「実は勉強をしていない」というものです。

岩谷さんの娘さんと同じ中学3年生の女子(仮名:柴田さん)を指導していたときのことです。柴田さんは中学2年生まで成績がよく、友達も多く、慕われる子でした。しかし中学3年になってから成績が落ちてきたのです。
今どきの「勉強ができる子」ならではの問題が!
保護者面談では、親御さんからは家では今までどおり勉強しているし、試験前も机に向かって一生懸命勉強しているので、原因がよくわからないというのです。そこで、私が柴田さんと直接面談をして、日常の世間話から試験前の勉強の様子について聞いてみたのです。

すると驚くことに、次のようなことがわかりました。それは「試験前に友達からメールがたくさんきて、それに対応していて勉強に集中できていない」ということでした。

勉強ができる子は、特にノートをしっかりとっているため、そのノートを写メ(写真で撮ってメールで送る)で送って欲しいと友達に頼まれることがあり、めったなことでは拒めないというのです。

この話を聞いて、私は早速、調査をしました。すると、勉強ができる子ほど、また女子のほうがこのような状況に巻き込まれていることがわかったのです。

こうした状況では、定期テストで点数が取れないこともうなずけます。では、こうした場合、どうすればいいでしょうか。メール対応をしなければ仲間外れになり、やがていじめにつながる……という固定観念が中学生の間には多く見られますので、無視することは現実的に難しいモノがあります。そこで私は柴田さんには次のようなアドバイスをしました。

「試験前は可能なかぎり塾へ来るように。そうすれば塾では携帯電話禁止なので対応できないと言えばいい」

このようにして、いつでもメール対応OKな環境から、塾という“圏外”へと移動させたのです。

対策としては、次のようなことも有効です。あるとき、埼玉県の中学校で保護者、生徒と話をする機会があり、試験前のメール対応問題について聞いてみました。すると、家庭内でメール対応に関するルールを作っているところは、大きな問題にならなくて済んでいるということがわかりました。

家庭でしっかりと問題を共有し、守らなければならない決め事を作ることで、未然に問題を防げることも少なくないはずです。

重要性の判断をしないという致命的ミス
では次に、2つ目の理由についてお話します。それは「勉強方法に問題がある」ということです。簡単に言ってしまえば、勉強している大半の時間は無駄なことばかりであるということです。

非常によくあるのが、テストに出ない部分ばかり勉強していて肝心の部分をおろそかにしているということです。これまで学校のテスト問題を大量に見てきましたが、テストというのは、教科書の頻出部分の上位20%を勉強すれば、80%得点できるように作られています。

試験によく出る部分をランク分けし、出る順にA、B、Cになるとします。Aを覚えると80点。AとBを覚えると90点。そしてCまで覚えると100点になるということです。

CまたはBばかりを覚えていて勉強しているつもりになっても、点数はいつまでも取れません。よく要領のいい子はいい点数を取るといいますが、彼らはAランクを覚え、そして次に時間があればBランク、そしてさらに時間があればCランクを覚えるのです。

ではランクを見切るにはどうすればいいでしょうか。一言で語ることは難しいのですが、あえて言うとすれば、「要するに何か?」という問いに対する部分がAランクです。それを説明するために必要な付属部分がBランク、さらに発展的に重箱の隅をつつくような難しく細かいことがCランクです。

樹木でいえば、幹と大枝がAランク、小枝がBランク、葉っぱがCランクです。何でも、「要するにどういうこと?」という発話をすると、おのずと核心をつかめてAランクを見いだすことができるようになります。

 

「期待値」に潜む落とし穴
では、「勉強しているのに成績が上がらない」最後の3つ目の理由です。それは「期待値が高すぎる」ということです。

メール対応も問題がない、勉強方法も悪くない場合、それでも成績が上がらない理由は、この期待値が高すぎる、という問題があることを疑ったほうがいいでしょう。

勉強をすれば確実に力はついているのですが、直線的に点数が上がっていくと錯覚しているため、時間が経てば経つほど、期待値と実際値が懸け離れていきます。

人間は、努力している自分をどうしても認めたいので、実際の伸びよりも高めの結果を期待してしまいます。期待したとおりにならないと、人間は「上がっていない!」と思い、それが焦りを生み、マイナス発言を引き起こし、行動に影響が出てきます。またこれが皮肉なもので、「全然上がらない! もうやめた!」と思った次の瞬間から上がったりします。

知識の習得や考える力は徐々についていき、あるライン(臨界点)に達すると急激に能力が上がるのです。スポーツの練習でもそうでしょう。会社で働くときでも力がついてきたと思うのは、一回りして仕事が慣れて全体像が見えてからでしょう。

しかし、初めのうちも努力しているのですから力自体はついているのですが、期待値がそれを邪魔してしまい、結果が出ないという錯覚を起こしていると、事前に知っておくといいでしょう。

岩谷さんの場合、受験勉強に本格的に入って数カ月しか経っていないかもしれません。ですから、本当に目に見えて力がついたと感じるのは試験直前、これからである可能性が大いにあります。焦ることなく、今の努力をそのまま続けていかれるといいでしょう。

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