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News8 国際バカロレア、広がる入試導入 グローバルな人材狙う 世界的な大学入学資格

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2014年5月23日 朝日新聞

世界各国の大学入学資格が得られる教育プログラム「国際バカロレア(IB)」を、入試に採り入れる大学が増え始めている。高い語学力と国際的素養を身につけた優秀な人材を国内外から集め、大学のグローバル化を進めるのが狙いだ。

玉川大学(東京都町田市)は国内で最も早く、入試にIBを採り入れた。2010年度入試から、人物評価を重視するAO入試の選考材料にしている。

教育学部2年の松本悠(はるか)さん(19)は、入学者第1号だ。「IBが日本の大学でも入学資格として認められることを証明したかった」と話す。

松本さんは、日本では数少ないIB認定校の加藤学園暁秀高校(静岡県)を卒業した。海外の大学に進学する同級生が多かったが、日本で教員になるために教員養成実績のある玉川大へ進んだという。今のところ、IB入試で玉川大に入った唯一の学生だ。

IBは、教科書を読んで知識を覚える学習法とは異なる。議論や論文執筆などを通じ、自分で課題を見つけて解決する能力の育成に重点を置いている。

玉川大AO入学課の後藤久美子課長は「IB教育を受けた学生には深く考える力がある。(高校の学習内容などを書かせる)コミュニケーションシートのレベルが普通の高校生とは全く違っていた」と評価する。

岡山大では12年、理系の4学部を中心にIBを活用したAO入試を始め、これまで2人が入学した。

「異文化を知る学生がいることで他の学生も触発される」と入試課の担当者。来年度からは、医学部医学科を含めた全学部に対象を広げる予定だ。

追随する有名私大や国立大が相次いでいる。

1990年に先駆的にAO入試を導入した慶応大湘南藤沢キャンパスの総合政策学部と環境情報学部は、来年4月入学のAO入試からIB取得者を対象とした試験を新設する。「グローバル人材を獲得し、他の学生の育成にもつなげる」(広報室)狙いだ。

筑波大は来年度入試から全学部でIB取得者を対象にした特別入試を実施する。東京大では、16年度入学生から始める推薦入試で参考にする資料の一つとして、IBの成績を例示した。(伊東和貴)

■採用まだ一部 通常の受験対策も必要

「大学が立て続けに導入を発表し、IBの価値を分かってもらえていると実感している。今後さらに増えるだろう」

国際バカロレア機構(本部・ジュネーブ)アジア太平洋地区のイアン・チャンバース代表は今月、文部科学省を訪れ、そう話した。

文科省も、IBを使った入試の普及を後押ししている。「海外の優秀な学生を獲得しやすくなる」。文科省は大学を個別に訪問し、IB入試の魅力を説明するなどしてきた。昨夏にはIBの普及策を考える有識者会議も設置した。今年4月にまとめられた報告書には、「各大学のIBの積極的な評価、活用の促進」などが盛り込まれた。

優秀な成績でIB資格を取得した学生には、英ケンブリッジ大といった海外の有名大に進学する道も開ける。国や大学がIB入試を国内で広げようとやっきになるのは、そうした学生に、海外ばかりでなく、国内にも目を向けてもらえるようにすることが狙いの一つだ。

IB資格を得るためには、16~19歳を対象にした「ディプロマプログラム(DP)」を修了し、世界共通試験に合格する必要がある。現在学べるのはインターナショナルスクールを中心に高校など19校。文科省は、2018年には200校に増やしたい考えだ。

ただ、現段階では国内でIB入試を採用している大学は一部にすぎない。このため、志望大学によっては、いわゆる「受験勉強」も欠かせない。

16年度入学生からIBを推薦入試で使えるようにする東京大の一部の学部は、IBの成績とは別にセンター試験の受験も課している。同じく、16年度からの京都大の特色入試にも、ほとんどの学部でセンター試験の受験が必要とされている。

IBの履修生は論文やリポートの作成、発表の準備など放課後にこなさなければならないことが多い。それに加えて、センター試験の準備も迫られる。

IB入試の先駆者となった玉川大も、10年度に始めてから受験者は3人しかいないという。

文科省の担当者は「総合的で多面的な評価をするIBは、今後の大学入試改革の方向性にも合致する。IB生であるがゆえに選択肢が狭まることのないよう、多様な分野や地域の大学で採り入れてもらう必要がある。入試担当者の説明会などでさらに周知していく」と話す。(高浜行人)

◆キーワード

<国際バカロレア(IB)> インターナショナルスクールの卒業生が、国際的に認められる大学入学資格を得られるようにすることなどを目的に1968年、国際バカロレア機構が発足した。IBは国際的に活躍できる人材の育成をめざし、世界各国で認められる大学入学資格が与えられる教育プログラム。履修生は文学、経済、音楽などの科目を独自のカリキュラムに沿って、原則として英語で学ぶ。日本での普及のため、歴史や生物、数学など一部の科目は今後日本語で実施できるようになる。

幼児や小中学生など対象は幅広いが、このうち高校生ぐらいの年齢の「ディプロマプログラム(DP)」は、試験や課題の成績に応じて45点満点の「IBスコア」が与えられ、大学側の選考に使われる。

■国内の大学入試への活用例

《実施中》

大学名   学部     入試名

玉川大   全学部    国際バカロレアAO

岡山大   理、工など  国際バカロレア

関西学院大 神、教育など グローバル入試IB

横浜市立大 国際総合   国際バカロレア

大阪大   理、工など  学部英語コース特別

上智大   国際教養など

早稲田大  政治経済など AO

国際教養大        AO

《導入予定》

大学名 学部     入試名

慶応大 法、環境など 帰国生・IB

筑波大 全学群    国際バカロレア特別

東京大 法、教養   推薦

京都大        特色

上智大 全学部

大阪大 全学部    グローバルAO

(文部科学省まとめ)

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