考える力は生きる力 考え抜く頭脳を育てたい

News7 大学入試一変、教育界動く 一発勝負から総合評価へ

  • HOME »
  • News7 大学入試一変、教育界動く 一発勝負から総合評価へ

 

中学入試  2月1日ピーク 大学入試改革先取りで様変わり

毎日新聞 2016年1月30日

首都圏の中学入試が2月1日にピークを迎える。国の大学入試改革で2020年度に新たな入試制度が始まるのを先取りし、中学受験でも思考力や表現力などをみる新しいタイプの問題を出す学校が増えている。これまで帰国生を対象にしていた英語入試を一般枠に導入し、新たな受験生の開拓を目指す学校も目立つなど、中学入試も大きく様変わりしている。

首都圏では小学生のおおむね5人に1人が中学を受験し、例年約6万人がこの時期、入試に挑む。

中高一貫女子校の中村中(東京都江東区)は今年大幅に試験内容を変更。「コンピテンシー(変化対応能力)入試」と「ポテンシャル(潜在能力)入試」の2種類を用意し、計124人を募集する。

コンピテンシー入試では、各科目の基本的な知識が定着しているのを前提に、思考力や考えるプロセスを見る。例えば国語の説明文の問題は、昨年までは空欄補充や本文の内容に当てはまるものを記号で選ぶ出題などが中心だった。だが、今年からは本文に関連する自分の経験や考えを具体的に記述させる問題などに改めるという。

ポテンシャル入試は芸術やスポーツなどさまざまな分野で高い能力を持つ小学生が対象。活動報告書や作文、面接などを4段階で評価し、合否を判定する。梅沢辰也校長は「多様な価値観を持つ生徒が同じ空間で学び合うことは、これからの大学入試で求められる表現力などを養うことにもつながるはずだ」。

男女共学の中高一貫校のかえつ有明中(江東区)は12年度から、一般的な4科目入試などとは別に「思考力入試」と呼ばれる試験をしている。ある言葉から連想する言葉をいくつも書かせたり、説明文を読んで考えを書かせたりする問題が出されたこともあった。同校の授業では、表現力や思考力を学ぶ教科横断型の「サイエンス科」という科目も設けている。担当者は「これまでの我が校の取り組みに国の教育改革が近づいてきた。学校説明会などで保護者からの質問も増えている」。

中学受験用の公開模試を実施している首都圏模試センター(東京)によると、今年の入試で、考える力などをみるために「思考力」「適性検査」といった名称の科目を導入する首都圏の中学は86校に上り、昨年の53校から約6割増。20年度から小学5、6年生で英語が正式教科となるのを見据え、英語を試験科目に加えたり、英語だけで受験できたりする中学も63校と昨年からほぼ倍増した。

小学3年の長女の中学受験を検討中という都内の男性(44)は「入試が変わると、その対策で塾や志望校選びも大切になる。正確な情報をつかむため、しっかりアンテナを張らなければ」と話す。

中学受験に詳しい森上展安・森上教育研究所代表は「難関校は以前から記述式の出題が中心だった。最近は中位校でも大学入試改革を意識して思考力を問う出題をしたり、授業にアクティブ・ラーニング(主体的、協働的な学習)を導入したりして、受験生を増やしている学校がある。一方で、大きく変わる入試制度を不安に感じ、大学付属校を志望する受験生の動きも目立つ」と話している。【高木香奈、佐々木洋】

大学入試改革

知識の暗記に偏りがちだった従来の入試を改め、知識を土台に思考力や表現力などを評価することを目指す。文部科学省はマークシート方式の大学入試センター試験を2019年度で廃止し、現在の中学1年生が大学受験に挑む20年度から記述式を取り入れた「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」を導入する方針。各大学の個別試験も改め、集団討論や面接などで意欲や他者と協力して目的を達成する力などを評価する。

大学入試一変、教育界動く 一発勝負から総合評価へ

2014年12月23日 朝日新聞

一発勝負の学力テストから、思考力や人物を総合的に評価し、合否を判定する大学入試へ。中央教育審議会の答申を受けた大変革を前に、受験生を送り出す高校からは困惑の声が上がった。一方で予備校などでは、次世代の入試に向けた対策の動きが、すでに始まっている。

大学入試センターが新試験に変わるのは2020年度だが、2次試験など各大学ごとに実施される試験は、最も早ければ今の高校2年生から変更される。知識量だけを問うよりも、部活動の実績を示す資料や志望理由書などを基に、プレゼンテーションや集団討論などを組み合わせて評価することが求められる。

「部活や学校行事に影響が出ないか気にかけているようです」。埼玉県立浦和高校で進路指導を担当する岡田直人教諭のところには、昨年ごろから生徒が入試改革について聞いてくるようになった。

浦和高では5年ほど前から、生徒が討論などをしながら学ぶ「グループ学習」を採り入れてきた。ただ、教員の間では、「討論やプレゼンが重視されるといっても、知識の吸収や定着なくして『活用』はない」と話しているという。

難関大学突破を目指し、「従来型」の受験対策を重視してきた高校は、新しい評価手法に疑問を投げかける。札幌市の私立北嶺中・高校の谷地田穣校長は「プレゼンや課題解決能力は大学に入ってからでも伸ばせる」。プレゼン能力ばかりにウェートが置かれることは疑問だという。

■大学、入試方法を模索

受け入れる大学側の動きは速い。国際基督教大(東京都)は15年度入試から新科目「総合教養」を設け、一般入試の受験者全員に課す。目指したのは「対策が立てられない問題」だ。

同大が公表したサンプル問題では、受験生は欧州などのワインの歴史や文化について約15分の講義を聴く。その上で、「スターリンがチャーチルにブランデーをすすめたとされる会談は」といった歴史や、ワインの製造に関する化学式などを問うという。

伊東辰彦教養学部長は「予測できない問題に対して、学んだ知識や洞察力や思考力を使って答えを見抜けるか。問題に諦めずに挑戦できるか。そんな能力を測りたい」と話す。

数万人規模の受験者を集める大規模な大学は、新たな入試方法を模索中だ。志願者数が10万人近くにのぼる法政大(東京都)。受験者全員を面接すれば、膨大な時間と人手が必要になる。入試を担当する佐藤良一常務理事は「公平性や負担を考えると、多面的な評価の入試にするのはかなり難しい」と話す。現段階でどんな試験にすればいいのか見通しはないという。

■予備校に専門チーム

予備校などでは、新しい入試への対策が進む。

河合塾は高校生を対象に「ジェネリックスキル講座」を始めている。数人のグループごとに問題に取り組む。議論を深め、全体発表で表現力を磨く。教育研究開発本部の信実秀則本部長は「思考のプロセスを身につけることに重点を置いた」と話す。

ベネッセグループでは、海外の有名大学向けの講座があり、総合評価方式の入試実態も把握しているという。ベネッセコーポレーション学校本部の藤井雅徳ユニット長は「多面的、総合的な評価に対応する事業にもすでに取り組んでいる」と自信を見せる。

専門チームを立ち上げた駿台予備学校は、医学部の小論文と面接の傾向のデータベース化を始めた。来春から受験生が利用できるようにする予定だ。

学研グループは、中学から大学の入試を研究するプロジェクトチームの設置を検討中だ。小論文の添削指導事業を拡大する方針で、学研ホールディングスの千代延(ちよのぶ)勝利経営戦略室長は「地頭を鍛えるのに適した教材がたくさんある。入試改革の流れはビジネス拡大の好機」と話す。(芳垣文子、千葉卓朗、岡田昇)

■科目統合も検討を

中教審の臨時委員を務めた金子元久・筑波大教授(高等教育論)の話 各大学に面接などの導入を強く迫る内容で、ある程度変革は進むだろう。ただ、私大の中には数万人が学力試験を受けるケースもあり、全員を面接するのは不可能だ。暗記した知識の量を問うだけの安易なテストをどうなくすかが課題になる。

センター試験は「地理A」「世界史B」といった科目が多すぎるという問題があるが、あまり議論されなかった。すでに問題を配る際のミスも相次いでおり、重要な論点だ。新テストの運営方法を検討するに当たり、科目の統合も考えなければならないだろう。
(芳垣文子、千葉卓朗、岡田昇)

PAGETOP
Copyright © どんぐり教育研究会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.