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News16 私立大学の授業料、なぜ右肩上がりなのか 学費据え置きの国公立大学との差が拡大

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山内 太地 :大学研究家

2015年02月28日 東洋経済オンライン

有名私立大学の授業料値上げが続いている。東京23区の法・文・経系では、2001年から2014年にかけ約13%上昇、70万円台半ばの水準に達している(小売物価統計調査)。jugyouryou

その理由として、多くの大学は教育の充実や設備の改善を挙げている。実際、早稲田大学は、2014年3月、中野に定員約900名の国際学生寮「WISH」を建設。校舎も次々と建て替えるなど、大型事業が目白押しである。

さらに、建物などのハード面の改善だけではなく、多くの学部で「Tutorial English」という、ネイティブ講師による、教師1人対学生4人の超少人数英語授業を開講。少人数授業の充実、留学制度の拡充などのソフト面でも、改革を進めるための経費が必要になっている。

志願者数の減少が追い打ち

社会が求める「グローバル人材」「コミュニケーション能力の高い学生」を育成するために、従来のような一方通向の講義をするだけの教育ではもう成り立たなくなったのだ。

少子化による志願者数の減少も追い打ちをかける。2014年度一般入学試験の志願者数は、近畿大学が1位。早稲田大学が2位、明治大学は3位、日本大学は4位だったが、いずれの大学もピーク時に比べ減少傾向だ。

少子化や受験生の安全志向が強まって志願校数が減る中で、今後、受験料の大幅な増加は見込めない。さらに、国からの各大学に対する研究や教育などの補助金も、審査の厳格化により減額傾向にあり、私立大学は、学費からの収入に頼るほかなく、値上げに至ってしまうのだ。

一方、国立大学法人の学費は、政府からの補助もあり、文系、理系、医学部を問わず、授業料が53万5800円、入学金を含む初年度納付金も81万7800円に据え置かれたままである。公立大学の学費も私立大学より安い。

国公立大学と私立大学の学費の差が拡大する中、私立大学は、学費を理由に優秀な学生に敬遠される事態に陥ることは避けなければならない。

給付型の奨学金は基準が厳しい

そこで、早稲田大学は「奨学課」という奨学金専門の部署を設けている。学業成績が優秀であるにもかかわらず、家計の事情で進学を断念せざるをえない首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)以外の高等学校出身者を対象にした、「めざせ! 都の西北奨学金」など各種奨学金を拡充している。

ほかにも慶応義塾大学「学問のすゝめ奨学金」、法政大学「開かれた法政21奨学・奨励金」、立教大学「自由の学府奨学金」、青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」など、ユニークな奨学金が花盛りだ。

こうした奨学金は、評判が悪い貸与型ではなく、返済不要の給付型だ。しかし、家計基準や成績評価などが厳しく、誰もが恩恵を受けられるわけではない。

だが、情報を得ることでチャンスは広がる。保護者や受験生には自ら情報収集をする姿勢が求められる。

(「週刊東洋経済」2015年2月28日号<23日発売>「価格を読む」)

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