考える力は生きる力 考え抜く頭脳を育てたい

どんぐり・スマイル11


dsmile0011「絵をかくことで育つ力 ~想像力と共感力 その1」

欧米では、若者の教会離れが徐々に進んでいると言われていますが、それでもキリスト教の精神は、たとえ世の中が変わっても、厳として人々の人生観・道徳観の基盤となっています。日本では、規範となるべきものが、全部ひっくりかえってしまいました。そのかわりに、この数十年間、子育てに対して何を言ってきたかというと、「自主性を大事にしよう」「個性を大事にしよう」ということです。もちろん、これは、本当はよいことです。ところが、表面だけをとりあげて都合よく解釈し、「子どもの自主性や個性を大事にしよう」とそういう教育をしてきたことのツケが、今回ってきているのです。家庭でも、学校でも、そして企業でも。

学習院名誉教授・川嶋優先生の言葉より

 

先日、ある中学校のベテランの先生から、こんなお話を伺いました。

「最近の生徒の様子を見ていると、全体的に落ち着きがないようです。もちろん、今は年度初めで、新しい学級に慣れていない、ということもあるかもしれません。しかし室内を走り回ったり、場所をわきまえず、大声で話す姿をよく見かけます。教師の話を無視したり、暴言をはく生徒もありました」

このお話を伺って、私は以前参加した幼児教育の勉強会でも、ベテランの保育士の先生が、同じようなことを言われていたことを、改めて思い出しました。

「落ち着きがない」「いつもソワソワしている」「集中力がない」「場所をわきまえない」「親や教師に対して、暴言をはく」など、気になる行動をとるお子さんは、最近では珍しくありません。

私が以前教えていたお教室は、外部の方から投書ができる仕組みになっていたのですが、私が受け持っていた生徒さんの(幼児から小学生まで)、お教室の外での「走り回る、友達をつきとばす」などのふるまいに対し、「あなたのお教室の子供たちは、勉強よりもまずは、社会的なマナーを教えるほうが先です!」

という投書が入っていたこともあります。これには、私自身、確かに一理あると思い、本当に困りました。

ベストセラーになった「子どもの心のコーチング」(PHP研究所)の著者である菅原裕子先生が繰り返し主張されるように、しつけとは親が「子どもを幸せにする基本的な生活習慣や社会的マナー」は何か?を、定義することから始まります。

たとえば、「誰かが話をはじめたら、おしゃべりをやめて、顔をそちらに向けてしっかり聞く」「友達や先生に暴言をはかない」「感謝の気持ちをこめて、ありがとうを、きちんと言える」「相手の言葉を、頭から否定しない」「場をわきまえた、行動をとる。公共の場所では、騒がない」「言葉じりだけをとらえて、人を批判しない」等というのは、子供が将来幸せになるために、大変重要な社会的マナーの一つです。

 

そこで私は、自分のお教室の中では、「こういうことはしてはいけない」というルールを、きちんと定義するように、心がけました。

子供の気になる行動に対しては、ただ漠然と叱るのではなく、「なぜそのような行動になるのか」をよく観察し、子供の思いや、行動にかくされた意味を見つけようと、心がけました。

またメモとして記録することで、自分自身の思い込みを排除し、試行錯誤を繰り返しながら、総合的に、子供一人一人をよく見ることを意識した結果、いろいろなことが分かりました。

たとえば、私が担当していた生徒さんの中で、何かトラブルがあると、すぐにかっとなって、「お友達をたたいてしまう」という小学3年生の男の子がいました。そのお子さんは、学校でも同じようにお友達をたたいてしまうので、お母さまは大変悩まれていました。

「お友達をたたいたら、ダメでしょう。もう二度としたら、ダメよ。分かったね!」「あなたがそんなことをしたら、○○ちゃんが、どんな気持ちになるか、分かるでしょう?」

親子面談の席で、その話がでると、お母さまは、隣に座っているお子さんに、何度もそう繰り返し注意をされました。

しかし、残念ながら、このように言葉で「これはダメですよ」と言っても、なかなかお子さんの行動を改善するのは、難しいのです。

実は、先に取り上げた、「場所をわきまえずに、大声で話す」などの行動にも共通するのですが、「すぐにお友達をたたいてしまう」お子さんの行動から私が強く感じるのは、「感情のコントロールが苦手」さらには、「想像力の欠如」という、この二点なのです。

自分がやったことによって、相手がどんな気持ちになるのか。自分の行動は、人からどう見られているのか。今これをすることが、良いのか悪いのか。

何かトラブルがおこったときに、「自分が正しい」と思うのは、人間の本能です。しかし、「主観ではなく、客観的にどうなのか」「相手は、どう考え、何を感じているのか」を、総合的に理解し、判断できる力をつけることは、お子さんが将来、社会に出て幸せに生きていくためには、「学校のテストで何点とれるか」以上に、大事なことなのです。

(次回に続く)

         2011/05/10掲載

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