考える力は生きる力 考え抜く頭脳を育てたい

コラム<1>


2007/4/2

算数は1問の配点が高く、成否が中学受験の結果に反映される場合が多いと言われています。

 

ここ数年、難関校では、つるかめ算などの解法のある問題がほとんどなくなり、受験生がはじめて見るような、いわゆる型にはまらない問題が増えています。これは、知識確認型の問題から、思考力重視型の問題へと変化しているのです。

 

学校側は、「考える力のある子供」を入学させたいという意図から、思考力・発想力を重視した問題へとシフトして、そこで得点差がうまれるよう配慮していると思われます。このような問題に対しては、受験テクニックを身につける反復練習や過去問だけでは十分とはいえません。ちょっとむずかしめの問題を、時間がかかっても丁寧に独力で解いていく、この試行錯誤が大切となってきます。

 

どんぐり倶楽部の「良質の算数の文章題」は、目で考える力=視考力を身につけることで、誰でも100%思考力・発想力を育てることができるよう、工夫されています。目で考える力=視考力を身につけた子供たちは、難しい問題を前にしても、「絵にかけばとけるもん」という絶対の自信をもって、前向きに取り組んでいきます。

 

 

2007/4/4

 

今、日本の子供たちの読解力の低下が、大きな問題となっています。

 

2003年にOECDが行った調査では、日本の子供たちの読解力は前回の8位から14位に減退。また最近では、企業においても、社員の日本語を的確に読み、書くといった能力の低下が問題視されています。

 

あるメーカーでは、マニュアルをきちんと読みこなせない社員が急増したため、昼休みに古典や名作を書き写すことを奨励するなど、試行錯誤を重ねています。

 

読解力は、このように勉強だけでなく、社会生活にも大きくかかわってきます。また中学入試には、「国語を通して、その子の成長の過程にある生活を見よう」とする学校側の意図も隠れているのです。国語の入試問題には、各学校の特色がはっきりと現れています。ちなみに御三家や、ラサールの入試問題は、良問そろいです。一度ご覧になることをお奨めします。

 

入試の問題で測れる子供の力は、「丁寧さと集中力を伴って文章を読み取る力」、「文章を論理的に読み取る力」、「登場人物の感情を客観敵に見る力」などです。そして、「国語の読解力がない」と保護者の皆さんが嘆くお子さん達には、次のような生活上の共通した態度があります。

 

(1)「じっくり」&「しっかり」取り組むことが苦手

(2)「根拠」よりも「勘」に頼る。「できた」でなく、「当たった」という。

(3)日常生活が「受け身」である。

 

どんぐり倶楽部では、12歳以前の「過度なパターン学習」に対し、警鐘を鳴らしていますが、これは「考えない習慣」が「考えられない頭」をつくってしまうことを危惧しているからなのです。

 

 

2007/4/5

 

最近、学校の宿題や幼児期からの早期学習で「百マス」計算などを毎日沢山させられているお子さんに多く見受けられるのが、すぐに「面倒くさい」、「分からない」と言いたがり、物事にじっくり取り組もうとしない態度です。

 

「算数脳」の提唱者である「花まる学習会」の高濱先生も言われていることですが、計算の繰り返しで学力アップが可能、ということが喧伝されているのは、実は罪深いことなのです。(詳しいことは、どんぐり倶楽部オンラインのホームページをご参照ください)

 

みなさんのお子さんが、文章題を解きながら「これ、足し算?引き算?」などと言い出したら、それは危険なサインです。自分で考えようとするのではなく、「答」だけを一秒でも早く求めているからなのです。

 

このような習慣がついてしまうと、国語の読解問題や算数の文章題で伸び悩むだけではなく、将来社会に出たあとでも、根気の要る仕事が苦痛になるなど、本人が苦労をすることにもなりかねません。

 

子供たちに必要なことは、思考力とその先にある判断力、そして未知の問題に対してもひるまず、(面倒くさがらず)前向きに取り組むことができる「生きる力」です。

 

どんぐり倶楽部の「良質の算数の文章問題 年長から小6まで」は、誰もが100%考える力を身につけることができるよう、工夫がこらされています。

 

パターン学習になれてしまったお子さんは、最初はすごく抵抗します。すぐに「分からん」

 

「やりたくない」と投げ出してしまいます。しかし、「手を動かしてごらん」「絵にかけば分かるよ」と言い続け、絵で答えを導くことができるようになると、もくもくと「手を動かし」「考える」ことが次第に楽しくなってくるのです。

 

そしていつのまにか、「苦手だった国語の読解が得意になった」といううれしいことがおこります。算数の答えを導くには正確で緻密な絵をかかなければなりません。それができるようになったお子さんは、「言葉からイメージをおこす」ことが容易になり、国語力もあがってくるのです。

 

なによりも「勘に頼らず」、「しっかりと自分で考える」生活態度が身に付くことが、一番大きな成果かもしれません。

 

 

2007/4/7

 

AIU保険の調査データによると、公立中学校では3年間の教育費が229万円であるのに対して、私立中学校では525万円になるといいます。さらに、公立高校が252万円であるのに対し、私立高校は479万円となっています。「現代子育て考 2005」

 

ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん(子供の教育費に関する講演・執筆多数)の分析によれば、普通のサラリーマンのご家庭が、私立中学校に行かせることは、決して無理ではないにしても、入学してからのやりくりはかなり大変なものになります。

 

さらに問題なのは、教育費優先の家計になるため、大学を卒業するまでまとまった貯蓄がしにくくなることです。

 

入学金や授業料だけでなく、制服代や学校の指定品代、さらに寄付金や通学費、さらには海外修学旅行の費用など、「私立中学に入れることは、10年間は下船できない船による覚悟が必要」と、畠中さんは言い切ります。

 

また私立の中高一貫校をめざし、小学校4年生くらいから塾に行かせるご家庭が多いようですが、その塾代もバカになりません。

 

たとえば、御三家への合格実績トップをほこる「SAPIX」の場合、週3回の6年生の授業料は月額5万円。さらに、夏季講習、冬期講習などの費用が別途かかるのです。

 

 

2007/4/9

 

「本人は、一生懸命頑張っているのに、なかなか学力が伸びない」・・・そんな悩みを持っている親御さんは、いらっしゃいませんか?

 

教育環境設定コンサルタントとして多くの本をかかれている松永暢史(まつなが・のぶふみ)さんによれば、学力低下の原因として、一概にはいえませんが、以下のようなものがあげられると言います。(もし何か思い当たる点があれば、まずその環境設定を改善されることをおすすめします)

 

①近隣の適切な遊び場環境がない。(一見学力とは関係ないようですが、特に男の子にとって同世代の男の子と群れて遊ぶ経験は、学力がグンと伸びる下地をつくってくれるものです。)

②テレビやマンガ、テレビゲームが大好き。

③小学校低学年から塾に通ったものの、「苦痛」だった。

④家の中で、一人でいることが多い。(人とコミュニケーションをとることが苦手)

 

松永さんは、特に男の子の場合、「覇気がない」お子さんは、本人がまじめに努力しているわりには、なかなか学力が伸びない傾向にある、と言っています。

 

特に都会では、子供が安心して遊べる場が減っているということで、どうしても親御さんは、子供がテレビやマンガ、テレビゲームに時間を費やすことを、許容しがちになります。

 

また、共稼ぎで子供を見ることができないから、と小学校低学年から塾や習い事にたくさん通っているお子さんも、少なくありません。しかし、いろんな習いごとや塾の宿題におわれるうちに、自分から主体的に学習しなくなり、生活態度そのものが「受身」、いわゆる「覇気がない」状態に陥ってしまいます。自分の身の回りのことも全部親任せ、お手伝いもぜんぜんしない、そんなお子さんも増えています。

 

しかし、本来学問に必要なことは、「自分から進んでやる」「やりとげる」という意思の力です。「勉強のできる子には、自分の身の回りのことも、きちんと自分でできる子が多い」というのは、最近発売されたプレジデントファミリーの5月号「頭のいい子の生活習慣」の記事内容とも一致します。

 

「自分の意思をもってきちんとする」習慣を身につけるには、部屋を片付ける、夕食の皿を運ぶ、靴をそろえる、明日もっていくものを確認してそろえる、家族の中で自分の役割を果たす、忘れ物をしないなど、身の回りのことをきちんとできるようにするのが、一番なのです。そんな子たちの中から、「勉強のできる子」は育っていくのです。

 

 

2007/4/10

 

世界的ベストセラー「富の未来」の著者であるアルビン・トフラー氏が指摘するように、今日の世界は、農業革命、産業革命につぐ、「第三の波」と位置づけられる知識革命の到来による、歴史的な転換期を迎えています。(ブログやどんぐり倶楽部オンラインのDVD講義も、その流れの中にあるわけですね)

 

これまでの教育や学校制度は、産業界が必要とする人間を養成するために作られました。しかし、工業社会から知価社会(知識が価値をうむ社会のことです)という、新しい経済へと変わろうとしている今、21世紀という時代にマッチした教育とはどのようなものなのか、既存の学校や教育のなかでは、それに対する答えは見つかりません。

 

経営コンサルタントの大前研一氏は、「唯一の正解など存在しない」というのが、新しい経済における社会の現実であると言われています。

 

答えは多種多様であってよいし、問題を解くためのアプローチもそれぞれであってよい(ビジネスの世界では当たり前ですよね)のに対し、今の日本の教育の現場では、依然として唯一の答えを求めているのです。

 

しかしながら、社会に出ると、答えは一つではないし、そもそも問題も答えも誰かが与えてくれるものではありません。受験や小学校低学年からの塾通いでパターン学習に慣れてしまうと、「誰かが問題をあたえてくれるのをじっと待っている」(指示待ち族?)「選択肢がないと、自分で答えを導くことができない」「何でも一つ一つマニュアルがないと動けない」(マニュアル人間?)など、この変革の時代には対応しにくい、融通のきかない社会人になってしまう、といった結果を招きかねません。

 

どんぐり倶楽部の良質の算数の文章問題は、子供たちが自分で言葉からイメージをおこし、オリジナルの絵をかきます。そして答えを見出していきます。子供たちの絵は、どれ一つ同じものはありません。そして「手を動かし」「絵をかきながら」どうやって答えを導き出すか、その段取りを自分で考えていこうとします。

 

このトレーニングを繰り返すことにより、「指示待ち族」や「マニュアル人間」ではない、オリジナルの思考回路をもつ、創造性とひらめきのある子供が育つと、私たちは考えていいます。そして社会にでて仕事をすすめる上で、一番必要な「段取り力」もが身についていくのです。

 

 

2007/4/21

 

今日、書店で「インド式・計算ドリル」(中村亨氏著)なる本を買いました。

なるほど、いろいろな掛け算のテクニックがいっぱいで面白い本でした。

 

世の中には、「インドには、2桁の九九があるから、インドの人は数学に強いのだ」という人がいますが、この言葉に騙されてはいけなません。

 

インドの人が算数や数学に強くて、世界的にITのエンジニアを輩出していることは周知の事実なのだが、理由は「2桁の九九」などではなく、もっと別のところあります。

 

インドの人は、釈迦の時代から哲学を好みます。

仏教の「空(くう)」の思想から、「0」が発明されたのが有名ですが、哲学とは常に「あいまいな人間心理」との対峙(たいじ)なのです。

 

要するに、インドの人々は数千年も「あいまい」を克服しようとした。その結果として身に付いたのは、理路整然であることを理想とする「論理的な探究心」だったと言えるのではないのでしょうか。

 

その一例として、インドの学校では、「算数・数学」の答案用紙には、必ず式を書く欄があり、式がなければ答えが正しくても点数は貰えないのが常識である。結果として、算数・数学に強い国が出来たのは当然であろうとうなずけることです。

 

2桁の九九とは、きっとその土地の習俗に過ぎないものではないかとも考えます。

 

 

2007/4/25

 

子供たちは何から逃げようとしているのか

 

神戸女学院大学教授の内田樹(うちだ・たつる)さんの近著「下流志向」がベストセラーとなっています。

 

現代の子供たちは、学びや労働から逃げ、その結果自ら下流階層へと降下していく、といういささか衝撃的な内容です。子供たちにとって、「義務教育」とは、「教育を受ける義務」であり、それを苦役と考え、そこから逃げることに快感を覚えているのではないか、内田氏はこのように分析しています。

 

では何故、子供たちは学ぶことを苦痛と考えるのだろうか。

 

かつての子供は、「家の手伝いをしてほめられる」のように、家庭内における労働が社会関係にはじまりでした。しかし今、多くの子供たちの最初の社会活動は「消費」であることが多くなり、ここに「買い手」という消費主体として社会とかかわっていく、という強烈な刷り込みが行われるのです。

 

子供たちは、学校においても、教育サービスの買い手としてふるまい、「教師の話をきく」という苦役に対する対価を問います。しかし、通常これに対する明確な答えは得られません。

(きちんと教えてくれる先生もなかにはいらっしゃるとは思いますが・・・・・)

 

ゆえに、子供たちはきっぱりと学びを拒否するのです。有用性が分からない商品に対し、苦役という対価を払う必要はないからです。

 

私も講師として教えていた幼児や小学生から、授業の最中に「つまらないからやめようかな」とか、「これすると、何の意味があるの?」と真顔で言われたことがあります。子供たちが、幼いうちから「教育サービスの買い手」としての意識を強くもっていることは、確かにそうかもしれません。

 

しかし、このように、ともすれば「学ぶこと」「労働すること」から逃げようとする子供に対し、大人が何をメッセージとして伝えるべきか、真剣に考えることが重要です。

 

(いくつかのヒントは糸山先生の著書のなかにちゃんとありますので、是非みなさんも考えてみてくださいね)

 

 

2007/4/30

 

「マンホールのフタは、なぜ丸いのか?」

 

マイクロソフト社の入社試験の問題として採用されて以降、とても有名になった問題がこれです。

 

「フタが穴に落ちない形が丸だから」とか、「作業員がゴロゴロと転がしていくのに便利な形が丸だから」などと、答えはいろいろ出たらしい。

 

世界中探せば、四角や三角のマンホールのフタも現実に存在します。

それを採用した地域の事情もまたさまざまなのでしょう。

 

世の中、10人いれば、10人とも考え方が異なっていてもおかしくはありません。無論、この問題にはこれといった正解はなく、入社を希望する個人の発想を知るためにのみ実施されたといいます。

 

しかし正解はないと言いつつ、やはりそこは”入社試験”です。

 

「マンホールの穴が丸いので、フタも丸い。」

 

この答だけは、マイクロソフトの試験担当者からは高く評価されなかったらしいと聞きました。

 

2007/5/9

 

<行動科学ティーチングの威力>

 

行動科学とは、心理学や動物行動学をベースに、人間の行動原理を解明しようとする学問で、今から50年ほど前にアメリカで生まれたものです。そこから、「行動科学マネジメント」という手法が派生し、さまざまな組織がこれを導入し、成果をあげています。

 

この「行動科学マネジメント」を教育現場向けにアレンジしたもの、それが「行動科学ティーチング」です。たとえば、親は子供に「ちゃんと勉強しなさい」とよく言いますが、この「ちゃんと」が子供には分からないことがよくあります。(きちんと挨拶しなさい、もっと頑張りなさい、というのも同じですね。)

 

教育のプロからみると、子供が勉強ができない理由は、「勉強の仕方が分からない」か、「勉強の続け方が分からない」この二つしかないそうです。糸山先生も指摘するように、まじめに頑張っているのに、なかなか成果がでないお子さんは、勉強の仕方そのものが間違っている場合があります。

 

行動科学ティーチングでは、「勉強の仕方」、「勉強の続け方」を教えます。そして、「正しい勉強のやりかたがわかる」、「自発的に勉強する習慣が身に付く」、「ほめられて楽しくなる」、「もっと頑張る」という行動へと、子供たちを導いていくのです。

 

具体的には、一人一人のお子さんに対し、「毎日勉強する」というようなあいまいな設定ではなく、「1日30分机に向かう」、「分からない漢字を毎日1個書く」といった日々の行動をもりこんだチェックシートを作成し、子供が毎日それに記入していくような仕組みを作ることが大切なのですね。

 

そして、行動科学では、「結果」と「プロセス」の両面を評価します。すぐに点数があがらなくても、「字が丁寧になった」とか「ノートが2冊目になった」とか、努力している過程をほめてあげるのです。

 

このやりかたは、ご家庭でもすぐにでも応用できます。「毎日決められた時間机に向かっているか」、「分からん張を作っているか」、「先生に質問する習慣がついているか」など、お子さんと一緒にチェックリストを作ってみませんか。

 

 

2007/5/15

 

<考えない運動は、体に悪い!考えない勉強も…>

 

先日、ある整形外科の先生が書いた、「考えない運動は体に悪い」というタイトルの雑誌の記事を見つけました。その先生の病院の近くを、たくさんの人がウォーキングしているそうですが、それを見ながら先生はいつも「そんなに歩いて、膝や腰が痛くないですか?」と問いかけたくなるそうです。

 

私たちが普通に歩く時、膝関節の軟骨には、体重の5から7倍の負荷がかかり、腰椎にもその半分くらいの負荷がかかるのだそうです。ただ漫然と歩くだけでは、膝関節、腰椎が悲鳴をあげ、変形してしまう、ということを、私ははじめて知りました。専門家の目から見ると、「考えない運動」は膝関節、腰に悪い影響を与えるので、危険ですらあるそうです。

 

実は、連続して30分歩くのと、10分歩いて数分ストレッチを3回繰り返す場合の運動の効果は、ほとんど同じです。それでいて、膝、腰への負担は、ずいぶん少なくなるのです。

 

「考えない運動は、体によいどころか、かえって体を壊すことがある」ということも、私たちが自分や家族・子供たちを守るために、知っておきたいことですね。

 

やはり運動も勉強も、同じ人間が行う以上、基本は同じなのです。「子供のために」とさせていた勉強が、時期や方法を間違えると、かえって子供に悪い影響を与えることもある、ということを、より多くの保護者の方に知っていただきたい、どんぐり教育研究会はそう願っています。

 

 

2007/5/18

 

<シュタイナー教育における教育の目標とは?>

 

糸山先生が、著書「新・絶対学力」の中で、「シュパルタ教育」を提唱されていることを、みなさんはご存知でしょうか?

 

もちろんこれは糸山先生の造語なのですが、「小学校まではシュタイナー、だけど中学はスパルタ方式で、みっちりと高校受験に備えて勉強する」が、一番日本人には適しているのではないか、という意味なのです。

 

ご存知の方も多いと思いますが、ルドルフ・シュタイナーは、1861年、現在のクロアチアに生まれた哲学者・思想家そして社会実践家です。(1925年没) シュタイナーは大学卒業後、家庭教師として教育に情熱を傾けました。その中には、障害をもった子もいました。その経験の中から、教育とは「真の人間認識にもとづく一つの芸術になること」が重要であると考えるようになったのです。

 

シュタイナーの認識による世界観・人間観は、人智学と呼ばれています。

これは、私たちの生きている世界は「物質」の世界と、「精神」の世界、その二つを結ぶ「魂(心)」で成り立っており、人間もまたこの三つの世界に生きているというものです。

 

シュタイナーは、人間は生まれてくる前に、それぞれの「人生の設計図」を持って生まれてくる、と考えました。そして、本当に幸せなことは、大人になったときに、この世界で自分の仕事、自分の課題をきちんとやっていける自我をもっていることだと、と人々に伝えていたのです。

 

せっかくよい会社に入っても、3年以内にやめていく新入社員が増えています。

また、昨年末に公表された学生生活調査によれば、東大生の83%が「将来の自分の進路や生き方」に悩みを抱えており、何と28%が「フリーターやニートになるかもしれない」という不安を抱えています。

 

大企業や偏差値の高い大学にはいることは、ケーキのデコレーションのようなものです。最も大切な、ケーキの中心のスポンジの部分にあたるのは、「自分の仕事、自分の課題をきちんとやっていける自我」に他なりません。

 

どのように親は「子供の自我」を育てていけばよいのか。その答えは、糸山先生のDVD講義の中で見つけることができます。

 

 

2007/5/22

 

<社会人基礎力の3つの能力とは?>

 

少し前のことですが、「うちの子、指示待ち族で自分からは何もしたがらない。ニートになりそうで怖い」というお母さまの不安をお聞きしました。また別のお母さまが、面談のときに、「この子にはとにかく、何らかの仕事を自分で見つけて、生きていく力をつけてもらえれば、それでいいんですが・・・」と話されていたことがあります。

 

仕事をする、ということは、ただ単に生きていくために必要なお金を稼ぐ、というだけではなく、大変重要な意味を持っています。

 

サミュエル・スマイルズは、その著書「自助論」の中で、「人間は読書ではなく、労働によって自己を完結させる」と述べています。人はそれぞれの仕事によって、集団社会に貢献していることを感じ、その貢献を通じて自分が大切な存在であるという認識が得られる、というのは何となく私にも理解できます。

 

糸山先生と考え方の近い、「算数脳」の高濱正伸先生が主催する花まる学習会のキャッチコピーは、「次世代の育成=自分でメシを食える大人に育てる」ですし、私もそれは、多くの親御さんたちに、真剣に考えていただきたいテーマだと思います。

 

しかし、「自分でメシを食える大人に育てる」といっても、何か漠然としていますよね。メシの食い方、にしても、何らかの商売など家業を継ぐこともあるし、サラリーマンになることもあるし、フリーで活動するケースもあるし、いろいろです。

 

そこでご参考までに、一般的な社会人という観点から、経済産業省「社会人基礎力研究会」の定義にもとづく「社会人基礎力の3つの能力」、というものをご紹介してみたいと思います。近年、経済産業省では、有識者による専門委員会を設け、社会人基礎力の明確化や人材の育成のありかたを検討、今後の取り組み方に対する報告を行っています。

 

(ここで、社会人基礎力とは、職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上で必要な基礎能力のことです)

 

「社会人基礎力の3つの能力」の一つは、「考え抜く力」です。要素としては、現状を分析し、目的や課題を明らかにする力、計画する力、新しい価値を生み出す力が挙げられます。

 

次に必要なのは、「前に踏み出す力=実行する力」です。失敗しても、粘り強く取り組む力と説明されており、その要素としては、主体性、他人に働きかけまきこむ力、実行力が挙げられています。

 

最後は、「チームで働く力=チームワーク」です。これは多様な人とともに、目標に向けて協力する力のことで、その要素としては、発信力、傾聴力、ストレス・コントロール力などが挙げられています。

 

つまり、社会に出て必要な「メシを食うために必要な力」とは、何よりも思考力、失敗をおそれず踏み出す力、そしてコミュニケーション力、と言えるでしょう。

 

皆様の子育ての参考に少しでもなれば、とてもうれしく思います。

 

 

2007/5/28

 

<これからの子供たちに必要な「3C」とは>

 

ハーバード大学教育学大学院で、認知・教育学の第一人者であるハワード・ガードナー教授と、スタンフォード大学教育学のウイリアム・ディモン教授らが共同研究した「立派な職業人の条件」というプロジェクトは、「今アメリカで成功している人の成功の秘訣は、ただ頭がいいことだけではない」ということを物語っています。

 

このプロジェクトでは、12の分野の専門家への綿密な調査により、今の時代に成功するには、業務遂行能力だけでなく、社会的な責任感や高いコミュニケーション能力が必要である、とそう結論づけているのです。

 

報告書の中では、ある有名な雑誌記者が成功の秘訣を、次のように語っています。

「取材する相手の人格と個性に関心をもち、自分より他人をまず考えることができる好奇心と我慢強さがあったことが、私の成功の要因だったのではないでしょうか」

 

現代の高度な情報化社会においては、インターネットに接続すれば、世界の最先端の知識をすぐに検索することができます。いくら頭が良くても、一人で完成できる知識や、一人で成し遂げられる仕事などないのです。

 

東京学芸大学教育学部社会学研究室の山田昌弘教授は、これからの子供たちに必要なものを「3C」と分析しています。産業構造の変化により、従来のように、「スキルアップ型」の職につき、勤勉に働いてさえいれば、雇用が保証され、収入もあがっていく、という時代ではもはやなくなっているのです。

 

山田教授は、この変化の激しい時代に子供たちに求められる3Cとは、

1.コミュニケーション能力

2.創造力

3.美的センス

としており、これは皆、「家庭環境によって育つものである」と指摘しています。

 

(いつもコラムを読んでくださるお母様、お父様、ありがとうございます。感謝します。)

PAGETOP
Copyright © どんぐり教育研究会 All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.